あさになったので
まどをあけますよ
やまは やっぱり そこにいて
きは やっぱり ここにいる
だから ぼくは ここがすき
あさになったので
まどをあけますよ
まちは やっぱり にぎやかで
みんな やっぱり いそいでる
だから わたしは ここがすき
荒井良二さんの描き上げた美しい絵本、
「あさになったので まどをあけますよ」
青々とした緑に囲まれた山の麓の小さな家から、電車が走り、車が列をなす大都会の大きなアパートメントから、
色鮮やかな花々に囲まれた海の見える家から、
子供たちが新しい一日を迎えるために、窓を開けます。
この絵本が出版されたのは2011年、東日本大震災の起こった年。
作者の荒井良二さんは被災地を訪れ、現地でのワークショップを通してこの絵本のアイデアを生み出されたそうです。
ここに描かれているのは、誰もがもっている日常の景色。
朝になったので窓を開ける、すると目の前に広がるのは、私たちの住む町や村のいつも変わらない姿です。
朝日を浴びた田んぼ道や、船の通る大きな川、賑やかな商店街。
今ここにある当たり前の日常、繰り返される日々に確かにある生きる喜びや美しさ、普段は忘れてしまいがちな、その大切なことに気づかせてくれる、宝物のような絵本です。
画面いっぱいにひろがる色とりどりの風景は、ひとつは今わたしが住む街に似ていたり、
また、ひとつは生まれ育った田舎の懐かしい風景を思い出させてくれたり。
きっと誰しもつながりを感じる景色がここにはあると思います。
あさになったので
まどをあけますよ
うみは やっぱり そこにいて
そらは やっぱり そこにある
だから ぼくは ここがすき
朝、窓を開けて、春の日差しをいっぱいに浴びながら、
今日も朝を、変わらぬ日常を、迎えられる喜びを感じる一冊です。
作品について
題名:あさになったので まどをあけますよ
作者:荒井 良二 作
出版社:偕成社
おすすめの読書シーン:朝 春 はじまりの季節 気持ちが沈んでしまっているとき
おすすめの年齢:2歳~
(絵本は赤ちゃんから大人まで読む年齢に決まりはないので、あくまでもご参考程度に)