どろんここぶた Small Pig


こぶたは、
おひゃくしょうさんの うちの、
ぶたごやに すんで いました。

こぶたは、たべるのが だいすき、
うらにわを かけまわるのも だいすき、
ねむる ことも、 だいすきでした。

でも、なによりも なによりも
すきなのは、
やわらかーい どろんこの なかに、
すわったまま、
しずんで ゆく ことでした。

アーノルド・ローベルの名作のひとつ、
「どろんここぶた」

原題は「Small Pig」ですが、岸田衿子さん訳の邦題のほうが私は気に入っています。

幼い頃母によく読んでもらった、大好きな一冊です。

おひゃくしょうの
おじさんと おばさんは、
とても こぶたを
かわいがって いました。

「せかいじゅうで、
いちばん かわいい
こぶただもんなあ。」

お百姓のおじさんとおばさんに愛されて、幸せに暮らしていたこぶた。

しかしある日、おばさんが大掃除を思い立つことでこぶたの運命は大きく変わってしまいます。

こぶたの大好きな「やわらかーい どろんこ」まですっかりきれいにしてしまったおばさん。

こぶたに とっては、
きのどくでは すみません。
もう おこって しまいました。
「こんな うち、
ぴかぴか すぎて、つまらないや。」

よるに なると、
こぶたは、 とこ とこ、
うちを にげだしました。

おじさんとおばさんのもとから逃げ出してしまった、こぶた。
どろんこを探し回り、ついにたどり着いたのは大都会。
しかしこぶたが見つけたものはどろんこではなく‥

ローベルの作品で特徴的なのは、ユニークで少し滑稽、でも素敵な個性の持ち主である動物たち。
そして柔らかく流れるようなタッチの絵はとても魅力的です。


このお話でも、表情豊かなこぶたからは、小さいけれどしっかりとした意志をもっている姿が見て取れます。

どろんこ目指して自分でめげずに行動し、でも少し失敗して困ってしまったり。

その様子はどことなく、小さいけれどわたしはおとななのよ!の2歳の娘を見ているようです。

娘もそんなこぶたにエールを送りながら、彼女の年齢にしては少し長めのこの物語にも最後までしっかりと耳を傾けてくれます。

なんとも気持ちよさそうな、やわらかーいどろんこの中にのんびりとしずんでみたくなる一冊です。

作品について
題名:どろんここぶた(原題 Small Pig)
作者:アーノルド・ローベル 作 岸田衿子 訳
出版社:文化出版局
おすすめの読書シーン:お外遊び どろんこ遊びの前後 リラックスタイム 牧場へ遊びに行くとき
おすすめの年齢:3歳~
(絵本は赤ちゃんから大人まで読む年齢に決まりはないので、あくまでもご参考程度に)

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