14ひきのおつきみ 仲秋の名月の下で読みたい絵本

今年の十五夜は9月29日、日本では今夜ですね。
こちらでは明日の夜、予報では晴れそうなので、綺麗な満月が見れたらいいなと期待しています。

アメリカで見る満月もまた違った情緒があり素敵ですが、日本人の私としてはやはり、大きなお月様に揺れるススキ、秋の夜風にあたりながらのお団子、この風情こそお月見でしょうと思うわけです。

明日はお風呂にゆっくり入ったら、この絵本を娘と読んで、しばし美しい日本の秋の情景に浸ろうと目論んでいます。

14ひきシリーズの中でも大好きな一冊です。

14ひきのおつきみ
いわむら かずお 作

クヌギの木の根元のお家を出て、せっせと木の上で何かの準備をしている14ひき。
たくさんの木の枝を集めて、ひもでしばって、
何とも素敵なお月見台が完成します。


おだんごを そなえよう。
くりのみも どんぐりも そなえよう。
おつきさん もうすぐ のぼってくるよ。


葉っぱの上には可愛らしいお団子や木の実がこんもり、そばにはススキの穂が月明かりに照らされています。

おつきさん ありがとう、
たくさんの みのりを ありがとう、
やさしい ひかりを ありがとう。

14ひきシリーズは、彼らの住む森の季節ごとの美しさや、動物や植物の細かな描写から伝わってくる温度、匂い、音などが魅力の一つだと思います。

その中でもこの「14ひきのおつきみ」は、秋のとある日の時間の移ろいが、とても見事に描かれています。


爽やかな秋晴れから少し日が傾いてきた午後、そして真っ赤な夕日、暗くなる前の黄昏時、夜を迎えてしんと静まる森、そこへ登ってくる明るくて大きなお月様。

それぞれの情景の中に、秋の少し乾いた風や、木の葉の香り、ひんやりした夜の空気に、月明かりに照らされた14ひきの和やかな表情、すべてがすぐそばに感じられるのです。

画面いっぱいに広がるその世界に、娘もいつも目を輝かせています。

もりを てらしている、
やまを てらしている、
とおい うみをてらしている おつきさん。
しずかに ねむった 14ひき。


秋の夜長の読書にぴったりの美しい一冊でした。

作品について
題名:14ひきのおつきみ
作者:いわむら かずお 作
出版社:童心社
おすすめの読み聞かせシーン:秋 お月見 おやすみ前
おすすめの年齢:2歳から
(絵本は赤ちゃんから大人まで読む年齢に決まりはないので、あくまでもご参考程度に)

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