“Excuse me, have you seen
my I LOVE YOU come this way?”
“What dose it look like?”
asked the woman.
“It smells sweet, like a rose.
It sings beautifully, like a skylark.
And it flies in the sky as light as a cloud.”
むかしむかし、あるところに男の子と女の子がおりました。
男の子は言葉少なく、黙っていることが多く、
だから、いつも女の子が彼に話しかけていました。
かぐわしい香りの薔薇について、美しいヒバリの歌声、そして空を自由に飛ぶ雲について。
そして男の子はそんな女の子の話に耳を傾け、静かに頷くのでした。
そんな日々の中、男の子は女の子の口から本当に聞きたい言葉ひとつの言葉を待っていました。
One day, on the top of a hill,
the girl finally shouted,
“I LOVE YOU”
とうとう丘の上から女の子が叫んだそのひとこと。
しかしその時、つよい風が吹き、
その美しく小さな言葉は遠くへ飛ばされてしまいます。
そして男の子は、女の子が何も言ってくれなかったと思い、悲しみを抱えて、丘を去ることに。
風に乗って飛んでいってしまった、
女の子の”I LOVE YOU”
彼女は、いたずらにも風が運んでいってしまったその言葉を探す旅に出ます。
一方、風の向くままにどこまでも、世界中を飛んでゆく”I LOVE YOU”
ある時は泣いている赤ん坊のそばにそっと寄り添い、
そしてある時は、孤独な老人の育てる小さな蘭の想いを代弁し、
森や山、海と呼応しながら。
そして一年、
いつかの丘へ帰ってきます。
そっと触れないとこわれてしまいそうな美しい物語は、中国の絵本作家、Shige Chenによるもので、イタリアのイラストレーターふたりが、この物語を絵に描き出しています。
作家のルーツである東洋的な雰囲気と、少しアンリ・ルソーを思わせるような、幻想的、叙情的な絵の世界観はとても魅力的。
物語を通して登場するヒバリ、多くの鳥たちは春を想わせますが、秋の静かな読書時間にもおすすめです。
ぜひ和訳を日本でも出版してほしい一冊です。
作品について
題名:I Love You
作者:Shige Chen 作
Pia Valentinis and Mario Onnis 絵
出版社:Reycraft Books
おすすめの読書シーン:春 秋 静かな読書時間に
おすすめの年齢:小学校中学年~
(絵本は赤ちゃんから大人まで読む年齢に決まりはないので、あくまでもご参考程度に)