もりに おおきなきが
いっぽんあって、
その ねもとに
こぐまと おかあさんが
すんでいました。
へやのまんなかには、
おおきなベッドと
ちいさなベッド。
こぐまは、まだ ひとりで
ねむれないので、
ちいさなベッドは
いつも からっぽです。
手元にある秋冬の絵本の中でもとびきり大好きな、くまの親子のお話。
森の大きな木の根元に小さな可愛い緑色の窓と扉。
ここに住むこぐまとおかあさん、ある秋の日に冬ごもりの準備にでかけます。
「ふゆごもりって なあに?」
「たくさんたべて
あったかくして、
はるまで ねむること。
ほら、もう
ふゆのにおいが してきた。
うーっ、さむい」
すっかり秋色に色づいた森の中、ふたりはまず木の実採りへ。
りすの親子に出会います。
「くまちゃんも きのみとり?
ほら、きれいなきのみ、
いっぱいあるよ」
「ほんとだ、これは
だんろの ひのいろ。
これは よるの そらのいろ。
これは あなたの めのいろね。」
それから、はちみつ採り、川で魚採り、夕暮れ時には綿摘み、そしてきのこを採りながらおうちへ帰る二匹。
おかあさんは暖炉に火を入れ、晩ごはんの支度。
こぐまはあたたかい暖炉の前に座り、暖炉の火で焼くお魚が焦げないように番をします・・
冬の足音が聞こえるとある秋の日の、冷たい空気とあたたかく実り多い森の様子。
そして日が暮れ、おうちの中で暖炉の火を燃やし、森の恵みいっぱいのあたたかいごはん。
ごはんの後は、はちみつ入りのお茶を飲みながら、手芸の時間。
寒い日のぬくぬくとしたしあわせがすべて、ぎゅぎゅっとつまったようなお話です。
片山健さんの空気や温度が伝わってくるようなあたたかい絵は、調度品や食器の描写もとても丁寧で細かく、くまの親子の森での暮らしぶりが垣間見え、心躍ります。
これからやってくる寒い季節、
鼻の頭が赤くなるまで外で遊んだら、
夜はほかほかお風呂にゆっくり浸かり、
パジャマに着替えたら、ぬくぬく毛布にくるまりながら読みたい、
そんな一冊でした。
作品について
題名:たのしい ふゆごもり
作者:片山 令子 作 片山 健 絵
出版社:福音館書店
おすすめの読書シーン:秋 冬 お外遊び
おすすめの年齢:3歳~
(絵本は赤ちゃんから大人まで読む年齢に決まりはないので、あくまでもご参考程度に)