Butterfly Child


When I open my wings…

I spin and swirl
and twist and twirl
and flutter and flap.

溢れんばかりの色鮮やかな草花、日の光が降り注ぐ木立に、軽やかな鳥や蝶たち、そして賑やかで遊び心あふれる子供部屋。

ベルリン在住のフランス人イラストレーター、絵本作家であるマーク・マジュースキーさんが描いた、目を奪われてしまうほどに美しい絵本です。

そしてこのお話、美しいのは絵だけにとどまりません。

小さな物語は、男の子が紙に蝶の絵を描き、それをもとに彼の背よりもずっと大きな蝶の羽をつくるところからはじまります。

嬉しそうに背中で踊る羽を眺め、仕上げにクジャクの羽根のような長い触覚を頭にのせ、
花の咲き乱れる外の世界へ飛び出していく男の子。


羽さえひらけば、僕は飛べる。
風に身を任せて、花から花へ。
踊るように、ひらひらと自由に。


しかし友達はそんな彼をばかにします。
踊りを真似してひやかしたり、羽を引っ張ったり。

頭の上で舞っていたきれいな触覚もとれてしまい、すっかり心くじけてしまった彼は、家に帰り、自分の部屋に引きこもってしまいます。


そこへ、ノックノック、
パパがやってきました。
美味しそうな一切れのピザをもって。

ピザを食べると、大きな腕で抱きしめてくれるパパ。
元気がでたら、さあ、今度はふたりで羽をつくろう、もう一度はじめから。


自分らしさ、家族の愛情、ありのままを受けいれること、そして勇気をもつこと。

添えられている言葉たちはあくまで控えめで、多くを語ってくれるのは美しい絵。

パパの大きな腕にくるまれて、安心した表情を見せる男の子のシーンには、胸が熱くなります。

また、ひやかしてくる男の子たちのスニーカーの靴ひもはしっかり結ばれているのに対して、主人公の男の子の靴ひもはいつもほどけて、自由に舞っています。

風にはためく美しく大きな羽、そして足取りに合わせて一緒に踊る靴ひも。

自分らしくありのままでいることをすっかりそのまま絵にすると、きっとこうなるんだろうなと感じました。

作者のマジュースキーさんは幼い頃から、絵を描いたり、物語をつくったり、そしてドレスアップをするのが大好きな男の子だったそう。

彼自身の思い出とつながるお話なのかもしれません。

待ち遠しい春を想いながらページをめくると、色とりどりの花々と一緒に心があたたかいものにつつまれる、そんな一冊です。

作品について
題名:Butterfly Child
作者:Marc Majewski
出版社:Katherine Tegen Books
おすすめの読書シーン:春 工作タイム お外遊び 動植物園 自分らしさについて考えたいとき
おすすめの年齢:3歳~
(絵本は赤ちゃんから大人まで読む年齢に決まりはないので、あくまでもご参考程度に)

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